1 共有持分放棄×登記・対抗関係
2 共有持分放棄×固定資産税からの解放
3 共有持分放棄×登記引取請求
4 共有持分放棄×課税|みなし贈与

1 共有持分放棄×登記・対抗関係

共有持分放棄によって『原始取得』が生じます。
詳しくはこちら|共有持分放棄|基本|典型例・通知方法・法律構成
これに対応する登記はちょっと特殊です。

<共有持分放棄×登記・対抗関係(※1)>

あ 前提事情

不動産の共有持分の放棄が行われた

い 登記手続|基本

登記手続は共有持分の『移転』とする
登記引取請求が可能である
放棄者の共有持分登記の『抹消登記』はできない
※大決大正3年11月3日
※最高裁昭和44年3月27日
※名古屋高裁平成9年1月30日
※川島武宣ほか『新版 注釈民法(7)物権(2)』有斐閣2007年p464
※末弘厳太郎『物権法 上』有斐閣 大正10年p420

え 対抗関係

次の2つは対抗関係となる
ア 持分放棄による『原始』取得
イ 持分の譲渡
※最高裁昭和44年3月27日

原則論では『原始取得』では『対抗関係』は適用されません。
共有持分放棄はこの点で例外的な扱いと言えます。

2 共有持分放棄×固定資産税からの解放

共有持分放棄は税務上の扱いにも注意が必要です。
民法の規定と税務上の扱いにずれがあるのです。

<共有持分放棄×固定資産税からの解放>

あ 前提事情

共有者=A・B・C
Aが『共有持分放棄』の通知をB・Cに出した
B・Cが『持分移転登記』に協力してくれない
登記上は『共有者A・B・C』の状態のままである

い 民法上の効果

Aは共有持分を持たない状態となった

う 固定資産税

固定資産税は『台帳課税主義』となっている
※地方税法343条2項
→Aも固定資産税納付義務を負う
民法上の効果とは別の扱いとなる
詳しくはこちら|固定資産税|課税|賦課期日・新築の基準時点・台帳課税主義

3 共有持分放棄×登記引取請求

共有持分放棄をしても登記が残っていると納税義務があります。
他の共有者が協力してくれない場合は移転登記ができません。
このようなケースでは登記引取請求が活用できます。

<共有持分放棄×登記引取請求>

あ 前提事情

共有持分放棄を行った
AがB・Cへの持分移転登記を望んでいる
B・Cがこれに協力しない

い 登記引取請求|理論

AはB・Cに対して『登記引取請求』ができる

う 登記引取請求|方法

登記引取請求の訴訟を提起する
訴訟では立証事項が少ない
→比較的短期間で完了する小規模な訴訟で済む
詳しくはこちら|登記請求・登記引取請求|典型的背景・判例

4 共有持分放棄×課税|みなし贈与

共有持分放棄は『みなし贈与』の課税に注意が必要です。

<共有持分放棄×課税|みなし贈与>

あ 民法的解釈

共有持分放棄を行った
民法的解釈では『移転』ではない

い 税務的扱い

贈与と同じ扱いとなる
『みなし贈与』と呼ばれる
※相続税法9条
※相続税基本通達9−12

う 贈与税|納付義務者

『財産を取得した者』に贈与税が課税される
『財産を譲渡した者=共有持分放棄を行った者』について
→連帯納付義務を負う
※相続税法34条4項