1 共有者による使用承諾×明渡請求→否定
2 共有者による使用承諾×金銭請求|基本
3 共有者による使用承諾×金銭請求|負担者
4 共有者単独での売却×明渡請求→否定

1 共有者による使用承諾×明渡請求→否定

共有者が共有不動産の使用を第三者に承諾するケースがあります。
賃貸借や使用貸借という関係が典型例です。
いずれにしても第三者の占有は『完全な無権限』ではなくなります。
このような状態での明渡請求の判断をまとめます。

<共有者による使用承諾×明渡請求→否定>

あ 共有者による使用承諾

不動産をA・Bが共有している
Bが第三者Cに不動産の使用を承諾した
Cが不動産を占有・使用している
AがCに対して明渡を請求した

い 明渡請求→否定

Cの占有はBの共有持分権に基づく
AはBに対して明渡を請求できない
AはCに対しても明渡を請求できない
※最高裁昭和63年5月20日

2 共有者による使用承諾×金銭請求|基本

前記の事案では明渡請求が否定されます。
その代わり,原則的に金銭の請求は認められます。
まずは金銭請求に関する基本的事項をまとめます。

<共有者による使用承諾×金銭請求|基本>

あ 共有者の使用承諾

不動産をA・Bが共有している
Bが第三者Cに使用を承諾した

い 金銭請求|全体

AはB・Cの両方orいずれかに対して
→金銭の請求ができる(※1)

う 金額算定

賃料に相当する金額と持分割合で算定する
詳しくはこちら|共有者自身の1人による使用|基本|原則・例外=相続・内縁関係

え 法的根拠

『い』の法的根拠は次のいずれかである
ア 不当利得返還請求権
イ 不法行為による損害賠償請求権
※民法703条,709条

3 共有者による使用承諾×金銭請求|負担者

前記の金銭請求についてはちょっと曖昧な解釈論があります。
誰に対して請求できるのか,という問題です。
これについてまとめます。

<共有者による使用承諾×金銭請求|負担者(※1)>

あ 金銭請求|無償使用

Cが無償で使用している場合
→AはB・Cのいずれかに金銭の請求ができる

い 金銭請求|賃貸借

Cが賃料=使用対価をBに支払っている場合
→AはBに対して金銭の請求ができる
※『論点体系判例民法2物権』第一法規p295

4 共有者単独での売却×明渡請求→否定

共有物の売却は,共有者単独で行うことはできません。
詳しくはこちら|共有物|『変更』『処分』行為
実際に売買契約を締結してしまうと別の問題が生じます。
買主が対象不動産を占有した場合の明渡請求です。
これについて判断した判例を紹介します。

<共有者単独での売却×明渡請求→否定>

あ 単独での売却

土地をA・Bが共有していた
Bが不動産全体をCに売却した

い 買主の占有

買主Cは土地上に建物を建てた
=占有した
AはCに対して土地明渡を請求した

う 占有の承諾

売買契約の履行過程において
CはBから土地占有を承認された
→Cの占有はBの共有権に基づくものである
『まったくの無権利者』とは同じではない

え 明渡請求

Aの明渡請求は認めない
※最高裁昭和57年6月17日