1 『変更・処分』行為|基本
2 物理的変化を伴う行為
3 法律的な処分行為
4 共有物の売却→『処分』
5 用益物権設定→『処分』
6 共有物への抵当権設定→『処分』
7 共有者単独による『処分』行為→法的効果|概要
8 決定した使用方法の事後的変更→『変更』

1 『変更・処分』行為|基本

広義の『管理』行為の分類の1つに『変更・処分』行為があります。
詳しくはこちら|共有物の変更・管理・保存|基本|必要な共有者の持分割合
本記事では共有物の『変更・処分』行為について説明します。
最初に『変更・処分』行為の基本的事項をまとめます。

<『変更・処分』行為|基本>

あ 意思決定|要件

『変更・処分』に関する意思決定
→共有者全員の同意が必要である
※民法251条

い 『変更』行為|解釈

『管理』以外の処分行為全般が含まれる
※『論点体系判例民法2物権』第一法規p298

う 変更・処分|解釈|基本

次のいずれかに該当する行為
ア 物理的変化を伴う行為(※1)
対象物の性質を変える程度の行為
イ 法律的に処分する行為(※2)

最後の『物理的変化/法律的処分』の分類方法は別の見解もあります。
しかし,全共有者の同意が必要という結論に違いはありません。
講学上の理論であり,現実のプラクティスには影響はありません。

2 物理的変化を伴う行為

『物理的変化を伴う行為』の内容・具体例をまとめます。

<物理的変化を伴う行為(※1)>

あ 物理的な『処分』

例;廃棄・消費

い 物理的な損傷
う 土地の造成|例

ア 田畑を宅地に造成する工事
イ 土地への土盛り工事

え 土地上への建物建築
お 建物の大規模な改修・建替え
か 山林の樹木伐採

3 法律的な処分行為

法律的な処分行為具体的内容・典型例をまとめます。

<法律的な処分行為(※2)>

あ 所有権を失う契約の締結

例;売却=売買契約締結・贈与契約(※3)

い 売買契約の解消

例;解除・詐欺による取消

う 用益物権の設定(※4)

例;地上権・地役権

え 一定の賃貸借契約締結

『ア・イ』のいずれかに該当する賃貸借契約を締結すること
ア 短期賃貸借の期間を超える
イ 借地借家法の適用がある
詳しくはこちら|共有物|『管理』行為(狭義)|賃貸借|締結・譲渡承諾・賃料変更

お 担保権の設定

例;抵当権・質権(※5)

か 決定した使用方法の変更(※6)

共有者間で決定した使用方法を後で変更すること

き サブリース契約の賃料変更

一般的な賃料変更は『管理』である
サブリース契約の賃料変更の場合
→共有物の『変更』として扱われる
詳しくはこちら|共有物|『管理』行為(狭義)|賃貸借|締結・譲渡承諾・賃料変更

4 共有物の売却→『処分』

法律的な処分の代表例は『売却』です。
共有物の売買に関する判例を紹介します。

<共有物の売却→『処分』(※3)>

共有物を売却すること
→『処分』に該当する
→共有者全員の同意が必要である
※最高裁昭和43年4月4日

5 用益物権設定→『処分』

用益物権の設定に関する判例の判断をまとめます。

<共有物への用益物権設定→『処分』(※4)>

共有地全体に用益物権を設定すること
例;地役権
→『変更』に該当する
=共有者全員の同意が必要である
※名古屋地裁昭和61年7月18日
※東京地裁昭和48年8月16日

6 共有物への抵当権設定→『処分』

抵当権設定に関する判例の判断をまとめます。

<共有物への抵当権設定→『処分』(※5)>

共有物に抵当権を設定すること
→『処分』に該当する
→共有者全員の同意が必要である
※最高裁昭和42年2月23日

7 共有者単独による『処分』行為→法的効果|概要

『処分』行為は共有者単独では行えません(前記)。
実際には共有者単独で行ってしまったケースもあります。
その場合の法的効果の概要をまとめます。

<共有者単独による『処分』行為→法的効果|概要>

あ 前提事情

共有者Aが単独で共有物の『処分』を行った
他の共有者の同意がない
→『処分』の権限がない状態である

い 法的効果|概要

ア 債権的効果
『契約』自体は有効とされる傾向がある
イ 物権的効果
Aの共有持分の範囲内で効果が生じる傾向がある
ウ 金銭清算
売却代金の受領などがあった場合
→他の共有者への帰属が認められる傾向がある
詳しくはこちら|共有者単独での『処分』行為|法的効果|契約の効力・代金分配義務

8 決定した使用方法の事後的変更→『変更』

使用方法を決定した後から内容を変更することがあります。
この場合の法的な扱いをまとめます。

<決定した使用方法の事後的変更→『変更』(※6)>

あ 前提事情

共有物の使用方法が共有者間で決定された
→決定内容の変更を希望する共有者がいる

い 決定内容の変更|影響

決定内容を変更すると次のような影響が生じる
ア 金銭的補償を超える損失を生じるおそれがある
イ 分割請求では使用収益を奪われたことの代償を得られない

う 『変更』該当性→肯定

決定内容の変更について
→『変更』にあたる
=共有者全員の同意が必要である
※東京地裁昭和63年4月15日