1 付随的裁判|基本
2 財産給付=承諾料|相場|概要
3 借地条件変更|賃料額
4 借地条件変更|存続期間の延長
5 借地条件変更|敷金の差し入れ
6 競売による借地権譲渡許可×敷金

1 付随的裁判|基本

借地権譲渡許可の手続には『付随的裁判』があります。
まずは基本的事項をまとめます。

<付随的裁判|基本>

あ 要件=前提事情

次の両方に該当する
ア 許可申立を認容する
イ 当事者間の利益の衡平を図る必要があるとき

い 付随的裁判|種類

次の措置を取ることができる
ア 借地条件の変更
・賃料の増額(後記※2)
・存続期間の延長
イ 財産上の給付

う 申立の必要性

裁判所の職権で行う
当事者の申立は不要である
※借地借家法19条1項後段

具体的な内容については次に説明します。

2 財産給付=承諾料|相場|概要

付随的裁判で最も中心的なものは『財産給付』です。
いわゆる『承諾料』のことです。
これについては裁判所でも任意交渉でも一定の相場があります。

<財産給付=承諾料|相場|概要>

状況 承諾料・相場
通常 借地権価格×10%程度
推定相続人への譲渡 借地権価格×3%程度

詳しくはこちら|借地権譲渡|承諾料|相場=借地権価格×10%|例外ケース

3 借地条件変更|賃料額

付随的裁判で賃料額を変更することもあります。

<借地条件変更|賃料額(※2)>

あ 基本

譲渡の許可をする場合
→裁判所は賃料額の改定をすることができる

い 傾向

標準的地代より低い場合
→標準的地代まで増額することは一般的である
※稻本洋之助ほか『コンメンタール借地借家法 第3版』日本評論社p141

う 法的性質

地代増額請求の裁判に代わる役割である
※借地借家法11条
※澤野順彦『実務解説借地借家法』青林書院p253
※『新基本法コンメンタール借地借家法』日本評論社p115

4 借地条件変更|存続期間の延長

任意の承諾では『期間延長』を伴うことも多いです。
しかし,裁判所の許可の場合は期間変更は通常行いません。

<借地条件変更|存続期間の延長>

あ 譲渡許可と存続期間の延長

存続期間の延長について
→なされないのが通例である
※香川保一『法曹時報』18巻11号p91
※星野英一『借地・借家法/法律学全集』有斐閣p310
※澤野順彦『実務解説借地借家法』青林書院p253
※稻本洋之助ほか『コンメンタール借地借家法 第3版』日本評論社p141

い 任意の承諾との比較(参考)

任意の承諾の場合
→当事者の合意により存続期間を延長することもある

う 他の非訟手続との比較(参考)

借地条件の変更・増改築許可の裁判の場合
→存続期間を延長することもある
ただし少ない
詳しくはこちら|借地上の建物の増改築・再築(建替)|承諾料相場・裁判所の許可手続

5 借地条件変更|敷金の差し入れ

条件変更の1つとして『敷金の差し入れ』もあります。

<借地条件変更|敷金の差し入れ>

あ 競売による借地権譲渡許可×敷金

競売による借地権譲渡許可について認められている
『譲受人からの敷金交付』を譲渡許可の効力発生条件とする
※最高裁平成13年11月21日(後記※1)

い 一般の借地権譲渡許可×敷金

一般の借地権譲渡にも該当すると思われる

う 借地権譲渡許可×権利金・更新料

一般の『権利金』『更新料』について
→肯定・否定の判断をした実例が見当たらない
※澤野順彦『実務解説借地借家法』青林書院p253

一般的に借地で『敷金の授受』自体があまりありません。
ただ,借地開始時の一時金としては権利金も同様です。
更新時の一時金として更新料もあります。
これらも敷金と同様に考えることも否定できないようです。

6 競売による借地権譲渡許可×敷金

借地権譲渡に伴い敷金の差し入れが認められた判例を紹介します。

<競売による借地権譲渡許可×敷金(※1)>

あ 前提・理論

敷金の関係
→特段の事情がない限り,新賃借人に承継されることはない
※最高裁昭和53年12月22日

い 借地権譲渡許可×敷金

競売により借地権を取得したケース
付随的裁判の1つとして
→相当額の敷金を差し入れる旨を定めることができる
譲受人に交付を命じる
※最高裁平成13年11月21日

この理論は『競売』に限定される性質のものではありません。
一般的な借地権譲渡許可でも該当すると考えられています(前記)。