1 譲渡許可申立×地主の不利|反社会的
2 譲渡許可申立×建物の使用方法
3 譲渡許可申立×譲受人予定者の資力
4 譲渡許可申立×譲渡を必要とする事情
5 譲渡許可申立×その他一切の事情|例

1 譲渡許可申立×地主の不利|反社会的

譲渡許可は『地主の不利』があると不許可となります。
詳しくはこちら|借地権譲渡許可申立・非訟事件|形式的/実質的要件|基本

『地主の不利』となる事情はいろいろなものがあります。
典型例の1つが『譲受人』の属性が『反社会的』というものです。
これをまとめます。

<譲渡許可申立×地主の不利|反社会的>

あ 譲受人予定者×反社会的側面

譲受人予定者が次に該当する
ア 暴力団員
イ 暴力団に事実上支配されている者
例;企業舎弟・フロント企業

い 属性×リスク

規範意識・遵法精神が欠如している
→地主に被害が生じる行為発生が予想される

う 実害リスク|内容

ア 建物の無断増改築
イ 条件違反の建物の築造

え 結論

地主に不利と言える
※澤野順彦『実務解説借地借家法』青林書院p251

2 譲渡許可申立×建物の使用方法

譲渡後の予定される建物使用方法も判断対象となります。

<譲渡許可申立×建物の使用方法>

あ 違法営業

違法な営業で利用することが予想される

い 風紀上の不都合

好ましくない営業で利用することが予想される
例;売春宿
→地主に不利である
※星野英一『借地・借家法/法律学全集』有斐閣p306

う 競業事業

地主と競業関係となる事業で使用することが予想される
→地主に不利である
※澤野順彦『実務解説借地借家法』青林書院p251

3 譲渡許可申立×譲受人予定者の資力

譲受人の資力も当然,地主に影響の大きな事情です。

<譲渡許可申立×譲受人予定者の資力>

予定者の資力が不十分である
=将来の賃料不払いが懸念される場合
→地主に不利である
※東京地裁昭和51年9月24日

4 譲渡許可申立×譲渡を必要とする事情

借地人の『譲渡を必要とする事情』も判断対象です。

<譲渡許可申立×譲渡を必要とする事情>

あ 基本

譲渡を必要とする事情
→考慮の中心となる

い 許可肯定方向|具体例

次の『ア〜ウ』の事情がある場合
→許可が肯定される方向に働く
ア 経済的困窮
困窮のため建物を売却する必要がある
イ 介護対価
老齢のため息子の介護を受ける必要がある
対価・謝礼の意味で息子に譲渡したい
ウ 法人成り
個人事業の法人成り
※稻本洋之助ほか『コンメンタール借地借家法 第3版』日本評論社p142

う 中立的事情|具体例

単なる買い替えが目的である場合
→否定方向の事情である
しかしこれだけで不許可とするほどではない
※澤野順彦『実務解説借地借家法』青林書院p252

5 譲渡許可申立×その他一切の事情|例

以上の事情以外にも判断対象となるものがあります。
条文上の『その他一切の事情』に該当します。
この内容を整理します。

<譲渡許可申立×その他一切の事情|例>

あ 建物の残存耐用年数

建物の老朽化の程度が進んでいる場合
→地主の『借地終了』への期待が高い
→許可は地主の不利になる
→不許可となる方向

い 譲渡に関する交渉

借地権譲渡に関する両者間の交渉の経緯
例;借地権者から承諾料提供の申出があったこと
※稻本洋之助ほか『コンメンタール借地借家法 第3版』日本評論社p142