1 譲渡許可申立×譲渡担保|申立時期|全体
2 譲渡許可申立×譲渡担保|申立時期|占有移転前
3 譲渡許可申立×譲渡担保|債権者代位
4 借地上の建物×譲渡担保権|設定×『譲渡』

1 譲渡許可申立×譲渡担保|申立時期|全体

借地権の譲渡について,裁判所が許可する手続があります。
『譲渡担保』の場合は申立時期の扱いが特殊です。
まずは解釈を全体的に整理します。

<譲渡許可申立×譲渡担保|申立時期|全体>

あ 一般の『譲渡』扱い

譲渡『前』に申立をする
※借地借家法19条
※香川保一『法曹時報』18巻11号p71

い 『競売』扱い

譲渡『後』に申立をする
※借地借家法20条
※星野英一『借地・借家法/法律学全集』有斐閣p302
※加藤正男ほか『基本法コンメンタール借地借家法』p68
※鈴木禄弥ほか『新版注釈民法(15)』有斐閣p534

2 譲渡許可申立×譲渡担保|申立時期|占有移転前

占有移転前の申立について,解釈論をまとめます。

<譲渡許可申立×譲渡担保|申立時期|占有移転前>

あ 前提事情

借地上の建物に債権者Aが譲渡担保権の設定を受けた
Aは建物の引渡を受けていない

い 占有移転前×自ら申立→否定

建物の引渡・使用・収益の開始前
実質的に『譲渡』があったとは言えない
→Aによる譲渡許可申立を認めない

う 占有移転前×代位による申立→両説あり

認める/認めない見解に分かれている(後記※1)

3 譲渡許可申立×譲渡担保|債権者代位

債権者代位により譲渡担保権者が申し立てる発想があります(前記)。
これについては,見解が分かれています。

<譲渡許可申立×譲渡担保|債権者代位(※1)>

あ 見解|占有移転前→肯定

譲渡担保権を実行する目的
→Aは借地人に代位して譲渡許可申立ができる
A自らが申立をすることもできる
※民法423条
※東京地裁昭和44年2月19日
※荒木新五『判批』判タ649号p51
※西村宏一『実務民事訴訟講座7』日本評論社p214

い 見解|占有移転前→否定

Aによる譲渡許可申立を認めない
※東京高裁昭和42年9月11日
※東京地裁昭和43年9月2日
※大阪高裁昭和61年3月17日
※加藤正男ほか『基本法コンメンタール借地借家法』p217
※鈴木禄弥ほか『新版注釈民法(15)』有斐閣p526

4 借地上の建物×譲渡担保権|設定×『譲渡』

譲渡担保権の『設定』に関する問題も別にあります。
設定自体が『無断譲渡』に該当するかどうかという解釈論です。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|担保権の設定・実行|『借地権譲渡』該当性|判断基準