1 賃借権の譲渡|該当行為|基本
2 賃借権の譲渡|該当する行為
3 賃借権の譲渡|該当しないもの
4 賃借権の譲渡×譲渡担保|概要
5 借地上の建物の譲渡×借地権移転|随伴性
6 借地上の建物の賃貸×借地の転貸|概要

1 賃借権の譲渡|該当行為|基本

賃借権の『譲渡』に該当するかどうかの見解が対立することが多いです。
というのは『賃借権の譲渡』は,表面的には別の形であることが多いのです。
土地賃貸借=借地,と,建物賃貸借に分けて整理します。

<賃借権の譲渡|該当行為|基本>

あ 土地賃貸借・借地

借地上の建物の所有権が移転すること
→『借地権(賃借権)』も随伴して移転する(後記※1)

い 建物賃貸借

建物の占有者・使用者が『賃借人以外』に移ること
→占有の移転と言える

2 賃借権の譲渡|該当する行為

賃借権の譲渡に該当する具体的な行為をまとめます。

<賃借権の譲渡|該当する行為>

あ 基準

当事者の行為により『賃借権』が移転すること
主に取引である

い 具体例

ア 売買・贈与・死因贈与・特定遺贈・代物弁済・交換
イ 包括遺贈・会社の合併
※東京高裁昭和55年2月13;遺贈について
※稻本洋之助ほか『コンメンタール借地借家法 第3版』日本評論社p139

3 賃借権の譲渡|該当しないもの

賃借権の譲渡のようにみえるけれど,該当しない,というものもあります。

<賃借権の譲渡|該当しないもの>

あ 基準

当事者の意思・行為とは無関係に『賃借権』が移転する場合
→『借地上の建物所有権』や『賃借建物の占有』の移転のこと(前述)

い 具体例

ア 相続
イ 取得時効
※稻本洋之助ほか『コンメンタール借地借家法 第3版』日本評論社p139

4 賃借権の譲渡×譲渡担保|概要

『譲渡』かどうかが曖昧なものもあります。
『譲渡担保』がその代表例です。

<賃借権の譲渡×譲渡担保|概要>

単純に『賃借権譲渡』という扱いはしない
一定の時期に『譲渡』の扱いとなる
※東京地裁昭和44年2月19日
詳しくはこちら|借地権譲渡許可申立・非訟事件|譲渡担保|申立時期・債権者代位

5 借地上の建物の譲渡×借地権移転|随伴性

『土地賃貸借=借地』の場合『建物の譲渡』が『賃借権譲渡』になります。
これについて理論を整理します。

<借地上の建物の譲渡×借地権移転|随伴性(※1)>

あ 事例

『借地人=建物所有者』Aが,建物をBに売却した

い 法的な効果

ア 建物の所有権
A→Bに移転した
イ 借地権
A→Bに移転した

う 借地権移転の理由;随伴性

『借地上の建物』は『借地権』がないと建物収去義務が生じる
=非常に不合理
→そこで『建物所有権と借地権』はセットで移転する
※民法87条2項類推解釈;従たる権利

6 借地上の建物の賃貸×借地の転貸|概要

借地人が『建物』を賃貸することはよくあります。
誤解が生じやすいです。
法的な扱いを整理します。

<借地上の建物の賃貸×借地の転貸|概要>

あ 前提事情

借地上に借地人所有の建物が存在する
借地人が第三者に『建物』を賃貸する

い 法的解釈

『土地』を貸していることにはならない
→『土地の無断転貸』ではない
詳しくはこちら|借地上の建物の賃貸|借地権譲渡ではない|建物賃貸禁止特約の有効性

『土地』を第三者が使うので『賃借権の譲渡・転貸』に見えます。
しかし『賃借権の譲渡・転貸』とは性質的に異なるものです。
これについては別記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|借地上の建物の賃貸|借地権譲渡ではない|建物賃貸禁止特約の有効性