1 標準管理規約|住居専用規定×民泊|実態面
2 標準管理規約|住居専用規定×民泊|適法性
3 標準管理規約|住居専用規定×民泊|まとめ
4 住居専用規定×民泊|平成28年5月大阪地裁
5 『貸与』規定×民泊|不明確な判断

1 標準管理規約|住居専用規定×民泊|実態面

民泊がマンション管理規約に違反するという主張が増えつつあります。
本記事では民泊サービスと管理規約との抵触について説明します。
問題となる大部分は『住居専用規定』との抵触です。
判断においては『平穏さ』が重視されます。
詳しくはこちら|標準管理規約|住居専用規定・貸与規定|基本|解釈論
民泊が住居専用規定に違反するかどうかの基準をまとめます。
まずは『実態面』から判断する基準を整理します。

<標準管理規約|住居専用規定×民泊|実態面(※1)>

あ 専有部分の『一部』を貸すタイプ

『専ら住宅として使用』から逸脱しない方向性
例;オーナーが居住中の住戸のうち『6畳の部屋1つ』を提供する

い 専有部分をまるごと貸すタイプ

両方の見解がある
ア 『住宅』に変わりはないという発想
宿泊者は『事務所』『作業場』として使用するわけではない
→『住宅』としての使用に該当する
→住居専用規定に違反しない(方向性)
イ 『事業』に近いという発想
『住宅』として想定された使用方法ではない
→住居専用規定に違反する(方向性)

う まとめ

タイプだけでは判断できない
具体的使用状況における『平穏さ』が重要な判断要素となる(前記)

これは『平穏さ』をストレートに検討する考え方でした。
次に,別の角度からの検討方法を説明します。

2 標準管理規約|住居専用規定×民泊|適法性

『平穏さ』は物理的な状況だけで判断されるわけではありません。
民泊サービスの場合は『旅館業法との関係』が大きく影響します。

<標準管理規約|住居専用規定×民泊|適法性>

あ 宿泊サービスの適法性

具体的状況によって『旅館業営業許可の要否』が異なる
例;サービス提供の頻度,ゲストの範囲など
詳しくはこちら|『旅館業』の定義・解釈|全体|4つのカテゴリ・共通部分
詳しくはこちら|旅館業の定義|『営業』解釈論

い 旅館業法違反×『平穏さ』

『旅館業法違反』である場合
→保健所・自治体・警察の調査・捜査の対象となる
例;立入調査・捜索・逮捕
→報道の対象にもなる
→マンション全体の『平穏さ』が大きく害される

う 参考判例|区・警察の警告

区・警察の警告があった
→『共同の利益』を害していると認めた
※東京地裁平成17年6月23日
詳しくはこちら|悪質行為・住居専用規定違反|事例|治療院・暴力団組事務所|権利濫用

3 標準管理規約|住居専用規定×民泊|まとめ

民泊が住居専用規定に違反するかどうかの判断方法をまとめます。
これは大きく簡略化した目安です。
当然ですが,個別的な事情によって結論が変わります。

<標準管理規約|住居専用規定×民泊|まとめ>

旅館業法違反に該当するか 判定結果・目安
『旅館業法違反』に該当する 住居専用規定違反となる(上記※2)
『旅館業法違反』に該当しない 実態面で決まる(上記※1)

4 住居専用規定×民泊|平成28年5月大阪地裁

住居専用規定と民泊との抵触問題が裁判所で判断されました。
この問題についての初めての裁判所の判断です。

<住居専用規定×民泊|平成28年5月大阪地裁>

あ マンションの状況

大阪市内
分譲マンション
戸数は100を超える
管理規約には『住居専用規定』があった

い 外国人急増

平成27年3月頃から
特定の2部屋に出入りする外国人が急増した

う 仮処分申立

平成27年11月
管理組合は大阪地裁に仮処分を申し立てた

え 裁判所の判断

差止の仮処分を発令した
※YOMIURI ONLINE平成28年5月24日
外部サイト|読売新聞|マンション『民泊』差し止め、大阪地裁が初判断

マンションでの違反行為への対抗手段は別に説明しています。
詳しくはこちら|マンションの悪質行為|基本|対応=停止・予防・使用禁止・競売・引渡請求
この裁判所の判断はあくまでも『仮処分』についてのものです。
また個別的な事情やそれがどのように判断に影響したのかが分かりません。
再現可能性はそれほど高くないでしょう。
一方,萎縮的効果もあるかもしれません。
いずれにしても今後,判決などの精度が高い判断が出るでしょう。

5 『貸与』規定×民泊|不明確な判断

民泊と管理規約の抵触では『貸与』規定も問題となります。
民泊サービスは『貸与』に該当するような気もします。
しかし,適用されるかどうかはハッキリしていません。

<『貸与』規定×民泊|不明確な判断>

あ 標準管理規約|『貸与』規定|概要

専用部分を『貸与』する場合
→ゲストに『宣誓書』に調印してもらう
→ホストはこれを管理組合に提出する義務がある
詳しくはこちら|標準管理規約|住居専用規定・貸与規定|基本|解釈論

い 不明確な解釈論

『貸与』条項が想定しているのは一般的な賃貸借契約である
→少なくとも1か月程度の期間が想定されている
→シェアリングは含まれないという考え方もある

これについても,今後問題が表面化すると思われます。