1 売買×8年10か月前の殺人事件発覚→告知義務肯定
2 売買×8年半前の殺人事件発覚→損害賠償肯定
3 売買×50年前の殺人事件×猟奇的→瑕疵肯定

1 売買×8年10か月前の殺人事件発覚→告知義務肯定

売買後に過去の殺人事件が発覚した事例を紹介します。
まずは責任が認められた判例からまとめます。

<売買×8年10か月前の殺人事件発覚→告知義務肯定>

あ 事案

ア 売買物件
マンションの1室
=区分建物の専有部分
イ 当事者
売主=個人
買主=不動産業者

い 発覚した事実

契約締結時より8年10か月前
対象建物の中
当時の所有者の親族が,他殺を疑われる態様で死亡していた

う 売主の認識

あり
積極的に『秘匿』した
=告知しなかった

え 裁判所の判断

売主の告知説明義務を肯定
※大阪地裁平成21年11月26日

2 売買×8年半前の殺人事件発覚→損害賠償肯定

<売買×8年半前の殺人事件発覚→損害賠償肯定>

あ 事案

土地の売買

い 発覚した事実

8年半前
当該土地上に存在した建物の中
殺人事件が発生した

う 殺人事件×特殊性

女性が胸を刺されて殺害された
残虐性が大きい
→嫌悪の度合いも相当大きい
新聞にも報道されていた
近隣住民の記憶に残っている
→居住者の耳に届くような状態がつきまとう

え 裁判所の判断

ア 責任の有無
売主の瑕疵担保責任を肯定
→損害賠償責任を認めた
イ 認容額
売買代金の5%相当額=約75万円
※大阪高裁平成18年12月19日

3 売買×50年前の殺人事件×猟奇的→瑕疵肯定

50年という長期間が経過した後でも瑕疵が認められた事例です。
特殊事情があったために例外的な判断となっています。

<売買×50年前の殺人事件×猟奇的→瑕疵肯定>

あ 事案

不動産の売買

い 発覚した事実

対象土地上に,かつて存在した建物
約50年前に殺人事件が発生していた
特異な猟奇性を帯びていた

う 裁判所が重視した事情

・農山村地帯である
・地元住民の記憶に残されたであろうこと
→この事件の記憶から,長期間未開発のままであった

え 裁判所の判断(結論)

瑕疵を認めた
※東京地裁八王子支部平成12年8月31日

殺人事件の後,概ね10年程度が心理的瑕疵の対象とされるでしょう。