1 動物の占有者の責任|条文規定
2 動物の占有者の責任|動物の種類
3 動物の占有者の責任×細菌・ウイルス
4 細菌・ウイルス×サイエンス的定義

1 動物の占有者の責任|条文規定

動物・ペットによる被害のトラブルはよくあります。
法的には『動物の占有者の責任』が生じることが多いです。
本記事では『動物の占有者の責任』の基本的事項を説明します。
まずは条文の規定を整理します。

<動物の占有者の責任|条文規定>

あ 占有者の責任|原則

動物の占有者は『動物が他人に加えた損害』を賠償する責任を負う

い 免責

動物の種類・性質に従い相当の注意をもってその管理をした場合
→免責される
※民法718条1項

う 管理者の責任|規定

占有者に代わって動物を管理する者
→『占有者の責任』を負う
※民法718条2項

2 動物の占有者の責任|動物の種類

動物の占有者の責任の対象となる『動物』の種類をまとめます。

<動物の占有者の責任|動物の種類>

あ 基本的事項

条文上『動物』の種類は限定されていない
→すべての『動物』が含まれる

い 解釈論

細菌・ウイルスについて
→含まれる/含まれない見解に分かれている(※1)

3 動物の占有者の責任×細菌・ウイルス

動物占有者責任における『動物』には解釈が分かれているものがあります。
『細菌・ウイルス』の扱いです。
この解釈論についてまとめます。

<動物の占有者の責任×細菌・ウイルス(上記※1)>

あ 含まれる見解

細菌・ウイルスも民法718条の『動物』に含まれる
※前田達明『現代法律学講座14不法行為法』青林書院p170
※浦川道太郎『遺伝子工学の民事責任』民事研修375号p10〜
※澤井裕『テキストブック 事務管理・不当利得・不法行為』有斐閣p377
※吉村良一『不法行為法 第4版』有斐閣p218
※田山輝明『事務管理・不当利得・不法行為』成文堂p262

い 類推適用として認める見解

危険の認識を前提として責任を認める
※良永和隆『民法基本判例解説 動物占有者の責任』民事研修620号p40

う 含まれない見解

細菌・ウイルスは民法718条の『動物』に含まれない
※我妻栄『事務管理・不当利得・不法行為』日本評論社p189
※宗宮信次『債権各論 第3版』有斐閣p436
※四宮和夫『不法行為−事務管理・不当利得・不法行為 下』p753

4 細菌・ウイルス×サイエンス的定義

細菌・ウイルスについては科学における定義・解釈論もあります。
法的な解釈論とは違うので注意が必要です。

<細菌・ウイルス×サイエンス的定義>

科学における定義・解釈は別である

対象物 生物・生命該当性
細菌 該当する
ウイルス 該当しない

(別記事『生命・生物の定義byサイエンス』;リンクは末尾に表示)