1 放し飼いペット×被害|法的構成
2 放し飼いペット×被害|典型例
3 放し飼いペット×被害|立証ハードル
4 放し飼いの猫×糞尿被害→立証できず|判例
5 猫×放し飼い|時代変化|環境省告示・基準

1 放し飼いペット×被害|法的構成

ペットの『放し飼い』については特有の法律問題があります。
まずは,理論的な法律構成を整理します。

<放し飼いペット×被害|法的構成>

あ 動物の占有者・所有者の責任

損害賠償請求
※民法718条,709条

い 人格権

加害ペットを撤去する請求
加害ペットを私有地に『立ち入らせない』請求

2 放し飼いペット×被害|典型例

放し飼いのペットによる被害の典型例をまとめます。

<放し飼いペット×被害|典型例>

あ マーキング

糞・尿による汚損

い 損壊系

ア 植木・鉢
イ 自動車

う ひっかく系

エアコン室外機の配管

え 鳴き声

室内飼育よりも『被害者の近くで鳴く』ことが生じやすい

3 放し飼いペット×被害|立証ハードル

放し飼いのペットによる被害については『立証のハードル』があります。

<放し飼いペット×被害|立証ハードル>

あ 立証|ペットの特定

識別できる程度の特徴を列挙する

い 特定の要素|例

ア 品種
イ 大きさ
ウ 柄

う 立証|具体例

ア 加害動物を撮影した写真・動画
イ 被害物品を撮影した写真・動画

4 放し飼いの猫×糞尿被害→立証できず|判例

放し飼いの猫の『特定』ができなかったという判例を紹介します。
立証ハードルの高さについて,分かりやすい事例です。

<放し飼いの猫×糞尿被害→立証できず|判例>

あ 事案

Aは戸建ての自宅において猫3匹を飼育していた
飼い猫は放し飼いにされていた
Bが住む隣家で猫の糞・尿による被害が生じた

い 訴訟提起

BはAに対して損害賠償請求・猫の撤去を請求した

う 立証

Bは,猫が撮影されている写真・ビデオを提出した

え 裁判所の判断|証拠評価

撮影された猫の色・柄がAの飼い猫とは異なっていた
BはAの飼い猫の特徴をよく知らなかった
近隣にはAの飼い猫以外の猫も徘徊していた

お 裁判所の判断|結論

加害猫の特定が不十分である
→請求は認められなかった
※東京地裁平成19年1月31日

5 猫×放し飼い|時代変化|環境省告示・基準

猫の飼育方法については,時代変化の影響があります。

<猫×放し飼い|時代変化|環境省告示・基準>

あ 時代背景

古来より『放し飼い』がよく行われていた
近年では住宅密集地が増えている
外部に出さない=室内飼育のケースが増えつつある

い 室内飼育の原則

環境省告示の基準において『室内飼育の原則』が示されている
(別記事『環境省告示|家庭動物飼養・保管基準|猫』;リンクは末尾に表示)

う まとめ

放し飼いが『違法』と規定されているわけではない
個別的状況によってトラブル時の責任判断がなされる