1 債権者不確知による供託|債権者の相続|基本
2 債権者不確知による供託|債権者の相続|肯定例
3 債権者不確知による供託|権利能力なき社団・財団

1 債権者不確知による供託|債権者の相続|基本

弁済受領の1つとして『債権者不確知』を理由とするものがあります。
本記事では『債権者不確知による供託』の基本的事項を説明します。
『債権者不確知』の代表的な典型例は『債権者の相続』があります。
これについてまとめます。

<債権者不確知による供託|債権者の相続|基本>

あ 債権者の相続

債権者が亡くなった
債務者は『債務者の相続人が不明』であると考えた
→債権者不確知による供託を行った

い 裁判所の判断

戸籍の調査により,相続人は判明するはずである
その気になって確かめれば容易に確認できる
→過失あり,と認めた
→供託は無効である
※東京高裁昭和44年12月9日

相続の関係は現在の日本では『戸籍』にすべて記録されています。
一定の作業の手間はかかります。
しかし,調査を実行・実現できないと言うほどのハードルではないでしょう。

2 債権者不確知による供託|債権者の相続|肯定例

債権者の相続が『債権者不確知』として認められることもあります。

<債権者不確知による供託|債権者の相続|肯定例>

あ 事案

戸籍から読み取れる相続人は分かっている
それ以外のAが『賃貸人から相続を受けた』と誤信している
Aは『Aが賃貸人である』と主張している

い 裁判所の判断

債権者不確知による供託は有効である
※東京高裁昭和27年12月18日

単に『戸籍を調べていない』ではない状況だったのです。
特殊事情があったので『債権者不確知』として認められました。

3 債権者不確知による供託|権利能力なき社団・財団

債権者の属性によって『債権者不確知』が認められるケースもあります。

<債権者不確知による供託|権利能力なき社団・財団>

あ 事案

債権者は,権利能力なき社団である
『弁済受領権限を持った者』が複数現れた

い 裁判所の判断

権利能力なき社団・財産は登記・登録などの公的データベース制度がない
このような団体が実在するかどうかを確認することは困難である
→債権者不確知による供託ができる
※東京高裁平成3年10月8日