1 弁済供託|制度の趣旨
2 弁済供託の種類
3 弁済供託|効果|通常・要件を欠く場合
4 弁済供託|供託の名宛人=被供託者|判例
5 弁済供託×解釈論|受領拒絶・不確知

1 弁済供託|制度の趣旨

『供託』の制度はいくつかに分類することができます。
詳しくはこちら|供託|基本|趣旨・制度概要・5つの種類・利用する具体的状況
『供託』の制度の中に『弁済供託』があります。
本記事では弁済供託の基本的事項を説明します。
まずは制度の根本的な趣旨をまとめます。

<弁済供託|制度の趣旨>

あ 前提=『弁済』ルール

債務者が『弁済』しないと各種の不利益がある
ア 遅延損害金・違約金が発生する
イ 取引の相手に解除権が発生する
解除されてしまうということ

い 『弁済』ルールの不都合

債務者は弁済したいのに『弁済できない』ことがある
→この場合,債務者に不利益が生じるのは不合理である

う 弁済供託の制度趣旨

債務者が『弁済したいけどできない』場合
→法務局に支払うことで『弁済』したことにする
=債務者に不利益が生じることを回避できる

2 弁済供託の種類

弁済供託の制度の基本的ルールを説明してゆきます。
まずは弁済供託は3種類に分けられます。つまり,弁済供託ができる条件(要件)が3とおりあるのです。

<弁済供託の種類>

あ 受領拒否

債権者が弁済の受領を拒否している
債権者が弁士を受領することができない

い 受領不能

債権者が弁済の受領をすることができない

う 債権者不確知

債務者が過失なく債権者を確知することができない
※民法494条

3 弁済供託|効果|通常・要件を欠く場合

弁済供託の法律的な効果をまとめます。

<弁済供託|効果>

あ 効果|通常

ア 債務者は『供託』をすることができる
法務局が供託の事務を取り扱っている
イ 債務を免れる
債務者は債務を免れる
=『弁済』をしたのと同じ扱いとなる
※民法494条

い 効果|要件を欠く場合

弁済供託を行ったが要件に該当しなかった場合
→無効となる
※大判昭和6年4月14日

4 弁済供託|供託の名宛人=被供託者|判例

弁済供託が実務上問題となることが多いです。
解釈論・問題の多くは別に説明しています。
ここでは『宛名』に関する解釈論だけを紹介します。
『誰に宛てた弁済』を目的とするのか,ということです。
供託される者,という意味で『被供託者』と呼んでいます。

<弁済供託|供託の名宛人=被供託者|判例>

あ 受領権限者の配偶者宛→有効

受領権限者=賃貸人
その夫を被供託者とした
→弁済供託は有効である
※京都地裁昭和29年4月23日

い 代理人宛→有効

賃貸人の代理人=夫
この夫を被供託者とした
→弁済供託は有効である
※東京高裁昭和34年4月15日

5 弁済供託×解釈論|受領拒絶・不確知

弁済供託が実務上問題となるケースは多いです。
『受領拒絶』『債権者の不確知』という要件の判断に関する解釈論がメインです。
これについては別に説明しています。
(別記事『受領拒絶による供託・基本』;リンクは末尾に表示)
(別記事『受領拒絶による供託・明確な受領拒絶意思』;リンクは末尾に表示)
(別記事『債権者不確知・基本』;リンクは末尾に表示)
(別記事『債権者不確知・賃貸借』;リンクは末尾に表示)