【消費者契約法|基本|定義・不当勧誘行為・不当条項・差止請求】

1 消費者|定義
2 事業者|定義
3 消費者契約|定義
4 定義×事実認定→曖昧なところが多い
5 『不当勧誘行為』→取消|制度概要
6 『不当条項』→無効|制度概要
7 適格消費者団体×差止請求|クラスアクション

1 消費者|定義

消費者契約法では多くの消費者保護の制度・手続が規定されています。
本記事では消費者契約法の基本的制度について説明します。
まずは規定・解釈のベースとなる用語の定義についてまとめておきます。
最初に『消費者』の定義をまとめます。

<消費者|定義>

あ 条文上の定義

次のいずれにも該当する
ア 個人であるイ 事業として・事業のための契約ではない ※消費者契約法2条1項

い 解釈論|国民生活審議会

ア 消費生活において,事業に関連しない目的で行為するイ 自然人である ※消費者庁|国民生活審議会Webサイト

2 事業者|定義

『事業者』についての定義・解釈論をまとめます。

<事業者|定義>

あ 条文上の定義

次のいずれかに該当する
ア 法人その他の団体イ 事業としてor事業のために契約をする個人 ※消費者契約法2条2項

い 解釈論|国民生活審議会

次のいずれにも該当する
ア 事業に関連する目的で行為するイ 自然人or法人その他の団体である

う 補足|国民生活審議会

実際の規定の適用上は『事業者』の定義はあまり意味がない
※消費者庁|国民生活審議会Webサイト

3 消費者契約|定義

『消費者契約』についての定義・解釈論をまとめます。

<消費者契約|定義>

あ 条文上の定義

『消費者』と『事業者』との間で締結される契約
※消費者契約法2条3項

い 解釈論|国民生活審議会

消費者と事業者の間で締結される全ての契約
※消費者庁|国民生活審議会Webサイト

4 定義×事実認定→曖昧なところが多い

実務では以上の定義に該当するかどうかの見解が分かれることも多いです。
『消費者』については事業を始める段階の判断が曖昧です。
この点『特定商取引法』という別の法律も同様です。
特定商取引法では通達で目安が示されています。
詳しくはこちら|特定商取引法|基本|適用対象・行政規制・民事的規定

5 『不当勧誘行為』→取消|制度概要

消費者契約法の制度の1つに『不当勧誘行為』に関するものがあります。
一定の勧誘行為によって締結された契約に『取消』という救済策が用意されています。

<『不当勧誘行為』→取消|制度概要>

あ 前提事情

事業者の勧誘について『不当勧誘行為』があった
『不当勧誘行為』により契約が締結された

い 『不当勧誘行為』|種類
種類 条文;消費者契約法
不実告知 4条1項1号
断定的判断の提供 4条1項2号
不利益事実の不告知 4条2項
不退去 4条3項1号
退去妨害 4条3項2号
う 救済措置

消費者は契約を取り消すことができる

え 差止請求

適格消費者団体が『差止請求』をすることができる(後記)

6 『不当条項』→無効|制度概要

契約書の中の個々の条項についての救済措置があります。
一定の不当な条項を無効とするものです。

<『不当条項』→無効|制度概要>

あ 前提事情

消費者契約の条項に『不当条項』があった

い 不当条項|事業者の責任免除|種類
種類 条文;消費者契約法
債務不履行責任の全部免除 8条1項1号
債務不履行責任の一部免除 8条1項2号
不法行為責任の全部免除 8条1項3号
不法行為責任の一部免除 8条1項4号
瑕疵担保責任の全部免除 8条1項5号
う 不当条項|消費者の負担加重|種類
種類 条文;消費者契約法
解除に伴う損害賠償額の予定条項 9条1項
金銭支払義務の不履行に対する損害賠償額の予定条項 9条2項
消費者の利益を一方的に害する条項 10条
え 救済措置

条項は無効となる

お 差止請求

適格消費者団体が『差止請求』をすることができる(後記)

『不当条項』の詳しい内容については別に説明しています。
詳しくはこちら|消費者契約法|不当条項|事業者の責任免除・消費者の負担加重

7 適格消費者団体×差止請求|クラスアクション

不当勧誘行為・不当条項については特殊な制度もあります。
『適格消費者団体』による『差止請求』です。
個別的契約には関わりのない機関が原告となって提訴する制度です。
契約の当事者・被害者以外の者が訴訟当事者となる特殊な手続です。
いわゆる『日本版クラスアクション』と呼ばれる制度です。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|消費者契約法|差止請求|適格消費者団体・公表・提訴前フロー

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