1 標準管理規約|住居専用規定|基本
2 住居専用規定|解釈|基本
3 住居専用規定|解釈|具体例
4 『専ら』という用語の解釈論|風営法|参考
5 標準管理規約|専有部分の貸与|条項19条
6 標準管理規約|専有部分の貸与|国土交通省・解釈
7 住居専用規定・貸与規定×民泊サービス
8 標準管理規約・国土交通省『コメント』|ソース

1 標準管理規約|住居専用規定|基本

マンション管理規約は,国土交通省による標準管理規約が使われているケースが多いです。
本記事では,標準管理規約のうち住居専用・貸与の規定について説明します。
『部屋のシェアリング』が抵触するかどうか,という問題も含めて説明します。
まずは標準管理規約(単棟型)における『住居専用規定』をまとめます。

<標準管理規約|住居専用規定|基本>

あ 条項|標準管理規約12条

第4章 用法(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

い 有効性

『専有部分』の使用制限である
→有効と考えられる
詳しくはこちら|管理規約|基本|設定手続・有効性・特定の区分所有者の『承諾』

2 住居専用規定|解釈|基本

専有部分の使用方法が住居専用規定に違反するかどうかが問題になることがあります。
住居専用規定が禁止する使用形態・範囲の解釈の基本部分をまとめます。

<住居専用規定|解釈|基本>

あ 国土交通省・解釈

居住者の『生活の本拠』があるか否かによって判断する
『生活の本拠』としての『平穏さを有する』利用方法ということである
※国土交通省|『コメント』(後記)

い 文献・見解

日常的な寝食のための居住用建物としての平穏さが確保されること
※稲本洋之助ほか『コンメンタール マンション標準管理規約』日本評論社p52〜

3 住居専用規定|解釈|具体例

住居専用規定に違反する/しない使用形態の例をまとめます。

<住居専用規定|解釈|具体例>

あ 違反しない使用形態|例

ア 居住用借家として賃貸する
イ 区分所有者自身の非日常的使用
例;週末・出張時のみの利用
ウ 空き住戸・荷物の保管場所

い 違反する使用形態|例

ア 事務所としての利用
イ ペンションとしての利用

う 程度により許容される使用形態|例

小規模の華道・茶道・書道教室・学習塾など
→平穏さ・良好な住環境を害しない範囲内で許容される
※稲本洋之助ほか『コンメンタール マンション標準管理規約』日本評論社p52〜

最後は規模・程度によって決まる,ということです。
いずれにしても解釈としては『平穏さ』が重要な判断要素となります。
判例でも『平穏さ』が重視されています。
詳しくはこちら|悪質行為・住居専用規定違反|事例|事務所系の使用
詳しくはこちら|悪質行為・住居専用規定違反|事例|治療院・暴力団組事務所|権利濫用

4 『専ら』という用語の解釈論|風営法|参考

標準管理規約の住居専用規定では『専ら』という用語が使われています。
この点,多くの条文で『専ら』という用語が使われています。
別の法令ですが,『専ら』の解釈に関する公的基準・判例を紹介します。

<『専ら』という用語の解釈論|風営法|参考>

あ 風営法|解釈運用基準の条文

『専ら』とは,他の営業でも同様であるが,おおむね7割ないし8割程度以上をいう
※警察庁生活安全局・風営法解釈運用基準第5の3(2)

い 風営法|判例

裁判所が『あ』の解釈運用基準をそのまま適用している
※東京高裁平成19年8月29日

う 解釈の射程・一般化

この判例は『解釈運用基準』に定める解釈を採用したに過ぎない
→『専ら』という用語の一般的な解釈ではないと思われる

この解釈論の内容はあくまでも警察庁の作成した『基準』を前提としています。
公的判断として『7〜8割』と決定し,運用がなされているのです。
この点,管理規約については,数値的な割合の公的判断はなされていません。
結局,風営法の『専ら』の基準・解釈は,管理規約では使えないと言えます。

5 標準管理規約|専有部分の貸与|条項19条

標準管理規約には『貸与』についての規定があります。
まずは条項自体をまとめます。

<標準管理規約|専有部分の貸与|条項19条>

(専有部分の貸与)
第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。

6 標準管理規約|専有部分の貸与|国土交通省・解釈

標準管理規約の『貸与』について国交省の解釈をまとめます。

<標準管理規約|専有部分の貸与|国土交通省・解釈>

あ 『第三者が遵守すべき事項』の対象

規約・使用細則に定める事項のうち,物件の『使用』に関する事項

い 賃貸借契約書|サンプル条項

○○条 賃借人は、対象物件の使用、収益に際して、○○マンション管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守しなければ ならない。
2 賃借人が、前項に規定する義務に違反したときは、賃貸人は、本契約を解除することができる。

う 誓約書|サンプル

私は、○○○○(賃貸人)との○○マンション○○号室(対象物件)の賃貸借契約の締結に際し、下記事項を誓約します。
《誓約事項》
対象物件の使用に際しては○○マンション管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守すること。
平成y年m月n日 ○○マンション管理組合 理事長○○○○殿
(住所・氏名・印)

7 住居専用規定・貸与規定×民泊サービス

現在,急速に民泊サービスが拡がっています。
マンションでは管理規約との抵触が問題となりつつあります。
民泊サービスと管理規約との抵触については別に説明しています。
詳しくはこちら|標準管理規約×民泊サービス|住居専用規定・貸与規定|大阪地裁判断
また,具体的な管理組合の対応も別に説明しています。
詳しくはこちら|管理規約・使用細則|民泊禁止条項|経済的影響・具体例・実例

8 標準管理規約・国土交通省『コメント』|ソース

以上の説明で,標準管理規約や国交省の『コメント』を用いました。
これらのオリジナルを記しておきます。