1 休眠担保権抹消手続|『所在不明』が共通する要件
2 担保権者の所在不明|自然人の場合|パターン
3 所在不明|自然人の場合|具体的状況
4 担保権者の所在不明|法人の場合
5 所在不明|該当しない実務的具体例

1 休眠担保権抹消手続|『所在不明』が共通する要件

休眠担保権抹消手続は原則的な訴訟手続よりも大幅に緩和されています。
この手続の種類は3つに分けられます。
いずれも『担保権者の所在不明』が要件とされています。
(別記事『休眠担保権抹消手続・基本』;リンクは末尾に表示)
本記事では『所在不明』の判断方法について説明します。

2 担保権者の所在不明|自然人の場合|パターン

まずは自然人の『所在不明』の判断に関する事項をまとめます。

<担保権者の所在不明|自然人の場合|パターン>

あ 所在・死亡の有無が不明

登記名義人の現在の所在・死亡の有無が不明である

い 相続関係が不明

登記名義人が死亡していることが分かっている
+相続関係が不明である

う 相続人の所在が不明

相続人は判明している
+相続人の所在が不明である
※小池信行『民事月報43巻8号』法務省民事局p17

3 所在不明|自然人の場合|具体的状況

自然人の『所在不明』の具体的状況をまとめます。

<所在不明|自然人の場合|具体的状況>

あ 所在不明の判断|基本事項

『所有者が担保権者の所在を知らない』だけでは足りない
『相当の手段』を尽くしてもなお不明であることを要する

い 相当の手段|例

ア 担保権者の住民票・戸籍の調査
イ 官公署や近隣住民からの聞き込み
※小池信行『民事月報43巻8号』法務省民事局p18

う 添付する書面|例

次のいずれかを提出することが多い
ア 市区町村長の証明書
内容=該当住所に担保権者が居住していない
イ 送付書面『不到達』の証明書
内容=登記上の住所に宛てた受領催告書が不到達であった
ウ 警察官の報告書
警察官が担保権者の所在を調査した結果を記載した書面
エ 民生委員の証明書
内容=担保権者が当該住所に居住していない
※昭和63年7月1日民3第3499号

4 担保権者の所在不明|法人の場合

担保権者が法人である場合の『所在不明』の判断についてまとめます。

<担保権者の所在不明|法人の場合>

あ 休眠担保権抹消手続の利用×法人

登記義務者が法人である
→『休眠担保権抹消手続』の利用は可能である

い 『法人の所在不明』の意味

『存在を確認できない』ことを意味する

う 法人×所在不明|典型例

登記簿に記載がない
+閉鎖登記簿が廃棄済である
※昭和63年7月1日民3第3456号
※東京地裁昭和50年4月9日;公示催告について
※昭和28年5月9日民甲第763号;弁済供託+公示催告について

5 所在不明|該当しない実務的具体例

休眠担保権抹消の手続は『所在不明』でないと利用できません。
間違えやすいケースの典型例をまとめます。

<所在不明|該当しない実務的具体例>

あ 具体的事情

債権者の法人が実在する
代表者が所在不明である

い 所在不明の判断

『債権者が所在不明』には該当しない
→休眠担保権抹消手続は利用できない

う 具体的対応方法

ア 通常の抹消登記請求訴訟を提起する
イ 特別代理人の選任を申し立てる
※民事訴訟法37条,35条