1 公共事業・反対派→『事業認定・収用裁決』の違法を主張
2 新石垣空港移設反対事件→適法
3 静岡空港反対事件→適法
4 適法と判断された判例|行政の裁量が大きい→適法判断が多い
5 二風谷ダム事件|『違法』と判断したレア判例
6 二風谷ダム事件|効力の維持=事情判決
7 事情判決=3方1両『得』

1 公共事業・反対派→『事業認定・収用裁決』の違法を主張

公共事業に関しては通常,反対する方も存在します。
法的には『事業認定』や『収用裁決』の適法性の判断が裁判所で争われる形です。
事業認定・収用裁決の要件については別記事で説明しています。
(別記事『事業認定・収用裁決』;リンクは末尾に表示)

2 新石垣空港移設反対事件→適法

石垣空港は老朽化し『風情のある』ものとなっていました。
移設・リニューアルの計画に対して裁判所の判断が下されました。

<新石垣空港移設反対事件>

あ 新石垣空港移設の理由

航空需要は増大が見込まれる
八重山圏域の基幹空港としてその振興発展に資することが望まれる
2000メートルの滑走路があれば中型ジェット機が就航可能である

い 裁判所の判断

公益上の理由あり
=適法である
※東京地裁平成25年9月17日

3 静岡空港反対事件→適法

静岡空港の整備についての適法性が判断された判例です。

<静岡空港反対事件>

あ 静岡空港整備事業の理由

地震災害発生時の緊急輸送手段や代替輸送手段を確保できる
空港が防災支援拠点として有用・必要な施設となる

い 裁判所の判断

適法である
※東京高裁平成23年10月13日

4 適法と判断された判例|行政の裁量が大きい→適法判断が多い

以上の判例以外にも『適法』と判断した判例が多いです。
行政の判断・裁量が重視されるので,裁判所が『違法』と判断するのはレアなのです。

<適法と判断された判例>

公共事業 判例
新石垣空港(前記) 東京地裁平成25年9月17日
第二京阪道路の改築工事 大阪高裁平成24年1月24日
静岡空港整備事業(前記) 東京高裁平成23年10月13日
圏央道建設事業 東京地裁平成22年9月1日
廃棄物処分場 東京高裁平成20年3月31日
木曽川水系徳山ダム建設工事 名古屋高裁平成18年7月6日
圏央道あきる野IC事業 東京高裁平成18年2月23日
日の出町廃棄物処分場 東京地裁平成17年11月25日
木曽川水系・多目的ダム建設工事 岐阜地裁平成15年12月26日
名古屋市高速度鉄道4号線山下通・新瑞橋間建設工事 名古屋地裁平成14年3月27日

5 二風谷ダム事件|『違法』と判断したレア判例

公共事業自体について『違法』と判断したレアな判例を紹介します。

<二風谷ダム事件|違法性判断>

あ 背景事情|アイヌ文化

アイヌの人々は我が国の統治が及ぶ前から主として北海道において居住していた
独自の文化を形成し,アイデンティティを有していた
我が国の統治に取り込まれた後も経済的,社会的に大きな打撃を受けた
なお独自の文化及びアイデンティティを喪失していない社会的な集団である
『先住民族』である

い 『事業認定』の違法性

ダム建設によるアイヌ文化への影響を考慮すべきである(あった)
しかし十分に考慮されていない
→『事業認定』は違法であった

う 『収容裁決』の違法性

『収容裁決』は『事業認定の違法性』を承継している
→『収容裁決』も違法である
※札幌地裁平成9年3月27日;二風谷ダム事件

この判決では『違法性』とは別に『判決の効力』で特殊な扱いがされています。
次に説明します。

6 二風谷ダム事件|効力の維持=事情判決

二風谷ダム事件の判決では『事情判決』という処理がなされました。
これについてまとめます。

<二風谷ダム事件|効力の維持=事情判決>

あ 当時の状況

既にダム本体が完成し湛水している
仮に事業認定・収容裁決を取り消す=無効とする場合
→解体・撤去を要することになる
=莫大なコストを要する

い 判決の効力|事情判決

事業認定・収容裁決の効力を無効とすること
→公共の福祉に適合しない
→『効力』は維持する
『事情判決』と言う
※札幌地裁平成9年3月27日;二風谷ダム事件

事情判決では,結果的に特徴的な関係者の『バランス』が生じます。
次に説明します。

7 事情判決=3方1両『得』

事情判決は結果的に,訴訟の関係者の『バランス』が取れる結果となります。
3者それぞれが一定の,プラス・ダメージ,を受ける状態になるのです。

<事情判決|3方1両『得』>

当事者
原告 『違法』が公認された
被告 解体・撤去は回避できた
裁判所 社会への大きな影響を避けつつ『違法認定』ができた