1 借地権評価|通常|借地権割合の実務的目安|まとめ
2 借地権評価|成熟の程度が低い地域|簡略版
3 借地権割合|路線価vs現実の取引実績|比較調査
4 借地権割合調査結果|地域別|第三者取引
5 借地権割合調査結果|借地権の当事者間取引

1 借地権評価|通常|借地権割合の実務的目安|まとめ

借地権の評価は不動産鑑定評価基準で細かいルールが定められています(別記事;リンクは末尾に表示)。
実務では,目安を算定するための簡略的な方法が多用されています。
以下,簡易的・簡略的な借地権評価の方法をまとめます。
更地価格に借地権割合をかける,というシンプルな方法を用います。
ここで『借地権割合』を『路線価図・建物の構造』から決めます。
『借地権割合』を表にしてまとめます。

<借地権評価|通常|借地権割合の実務的目安|まとめ>

路線価図での区分 相続税評価 木造の場合 RCの場合
A 90% 80〜85% 90〜95%
B 80% 75〜80% 80〜85%
C 70% 70% 70〜75%
D 60% 60% 60%
E 50% 50% 50%
F 40% 40% 40%
G 30% 30% 30%

※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務』清文社p608

なおこれは『通常』のケースで用いるものです。
つまり,借地権の取引の成熟度が高いエリア,ということです。
それ以外のエリアについては次に説明します。

2 借地権評価|成熟の程度が低い地域|簡略版

借地権取引があまりないエリアの借地権評価の不動産鑑定評価基準はちょっと非現実的です(別記事;リンクは末尾に表示)。
ここでは簡略的な借地権評価の方法を紹介します。

<借地権評価|成熟の程度が低い地域|簡略版>

実務的な経験則・目安としての借地権評価
=更地価格の2割程度
個別的な事情による加減は適宜行う
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務』清文社p607

『2割』という割合は,ちょうど『使用貸借などで用いる場所的利益』と同レベルです。
詳しくはこちら|建物買取請求における代金算定方法・場所的利益の意味と相場

3 借地権割合|路線価vs現実の取引実績|比較調査

以上の簡略的算定方法では『借地権割合』を中心的に用いました。
ここで『借地権割合』は『路線価図』に公的なものが掲載されています。
要するに『相続税評価用』のデータです。
一方,取引その他の民事的な評価では『借地権割合』が『路線価図』からズレます。
この『借地権割合のズレ』についての調査結果があります。
これを紹介します。

<借地権割合|路線価vs現実の取引実績|比較調査>

あ 調査概要

『借地権取引の実態調査・平成15年10月』
実施者=社団法人日本不動産鑑定協会連合会
調査時期=平成15年3月
収録事例数=103件

い 参考情報|引用元文献

鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務』清文社p610

調査結果の概要を次にまとめます。
現実の事案で参考として有用です。

4 借地権割合調査結果|地域別|第三者取引

借地権割合の『路線価図vs現実の取引』での『ズレ』の結果を順に示します。
まずは『地域別』・『借地権を第三者が購入した』というカテゴリからまとめます。

<借地権割合調査結果|地域別|第三者取引>

項目 関東甲信 東京 神奈川 近畿 九州・沖縄 その他
平均借地権の割合(ア) 16.2 63.4 54.4 31.9 24.5 28.9
事例地の国税借地権割合の平均(イ) 52.5 66.5 60.0 57.1 43.3 45.0
比率(ア/イ) 30.9 95.3 91.2 55.9 56.6 64.2

※数値=取引価格/更地価格×100(%)→この平均値
※引用元は前記

5 借地権割合調査結果|借地権の当事者間取引

借地権割合の調査結果のうち『地主・借地人』の間の取引に関するものを示します。

<借地権割合調査結果|借地権の当事者間取引>

あ 一般取引
当事者間取引の平均的借地権割合(ア) 44.7
事例地の国税借地権割合の平均(イ) 56.5
比率(ア/イ) 79.1
い 競売・訴訟・調停
当事者間取引の平均的借地権割合(ア) 34.0
事例地の国税借地権割合の平均(イ) 60.0
比率(ア/イ) 56.7
う その他
当事者間取引の平均的借地権割合(ア) 31.3
事例地の国税借地権割合の平均(イ) 45.0
比率(ア/イ) 69.6

※『平均的借地権割合』=『借地権取引価格/更地価格』→この平均値
※引用元は前記