1 行政による『空家放置問題』の解決|規定・制度のまとめ
2 空家問題解消×最新の政策|空家対策特別措置法・税制改正
3 空家放置問題対策としての『条例』により対応する方法もある
4 条例の限界|条例制定が進まない理由
5 税金の滞納×差押|滞納処分|競売による空家解消
6 空家問題×行政|協議・サポート|全体
7 空家問題×行政|所有者との協議→寄付|事例

日本の各地で『空き家』が増え,社会的な問題になっています。
(別記事『弊害』;リンクは末尾に表示)
本記事では『空き家・土地』放置問題の解決策について説明します。

1 行政による『空家放置問題』の解決|規定・制度のまとめ

放置された空家について行政による対応が必要なケースも増えています。
法律・制度の全体をまとめます。

<行政による『空家放置問題』の解決|規定・制度のまとめ>

法律 条文 対象物件 原則的対応 代執行の有無
空家対策特別措置法 14条2,3,9項 『特定空家』(※1) 除却・修繕・立木竹の伐採等の勧告命令
建築基準法 9条 建築基準法に違反する建築物 除却等の措置命令
消防法 3条 火災予防上危険である物件(建物等) 除去等の措置命令
廃棄物処理法 19条の4,19条の7 生活環境の保全上の支障が生じている場合など 支障の除去等の措置命令
密集市街地整備法 13条 延焼防止上危険な建築物 除去勧告

※1『特定空家』=一定の老朽化した空家が定義されている

2 空家問題解消×最新の政策|空家対策特別措置法・税制改正

空家解消に向けた政府としての政策も実施されつつあります。
平成26〜27年に成立・施行している制度があります。

<空家対策政策|特別措置法+税制改正|概要>

あ 空家対策特別措置法

市町村による調査・強制的な空家解体を容易にした

い 税制改正

空家の敷地について『固定資産税の減免措置』から除外する
→『空家維持の理由』をなくす
+有効活用を後押しする

それぞれの内容については別記事で詳しく説明しています。
(別記事『空家対策特別措置法・空家解体』;リンクは末尾に表示)
(別記事『税制改正』;リンクは末尾に表示)

3 空家放置問題対策としての『条例』により対応する方法もある

条例によって,放置された空家の対策の規定・制度を作る実例もあります。

<空家対策×条例>

あ 規定内容|バリエーション

ア 住民からの情報提供
イ 自治体による実態調査
ウ 首長による一定の措置の指導・勧告・命令
エ 解体費助成
オ 公表
カ 行政代執行
キ 違反への罰則
※平成24年4月1日現在,岩手県・宮城県・福島県内の市町村を除く

い 空家条例の普及状況|制定した地方自治体の数
調査時期 自治体数
平成24年 54以上
平成26年10月 401

※国土交通省アンケート調査

指導・勧告という弱めのルールが多いです。
罰則,行政代執行という,強い制度を作っているケースはまだ少ないです。

4 条例の限界|条例制定が進まない理由

空家の対応・対策を条例で制定することには一定のハードルがあります。
国の法令との関係,つまり矛盾や抵触が生じる可能性があるのです。
解釈によっては条例が『無効』となる可能性もあります。
特に『罰則』については,一般的に問題になることが多いです。
詳しくはこちら|条例による規制の限界|法律との関係・抵触|徳島市公安条例事件
結局,地方自治体としても条例制定を躊躇する傾向があるのです。
現在は国として空家対策特別措置法が制定されるに至りました。
空家条例を制定する必要性は一気に低くなりました。

5 税金の滞納×差押|滞納処分|競売による空家解消

建物を含む不動産については,所有しているだけで固定資産税が課税されます。
長期間放置されている空家は,固定資産税が未納となっていることも多いです。

<税金の滞納×差押|滞納処分>

あ 基本的事項

不動産に関する税金の滞納がある場合
→市町村は不動産の差押をすることができる

い 滞納処分

一般の債権者による差押よりも手続が簡略化されている
裁判所の関与が不要である

う 典型例

建物・敷地の所有者と同一である場合
→土地・建物をセットで差し押さえる
→競売(公売)にかける
※地方税法373条,国税徴収法94条

仮に建物には価値がない場合でも,土地とセットであれば,買う人はいるはずです。
購入者(落札者)は入手後,建物を解体し,新たに新築する等により,土地をフル活用できるからです。
この方法であれば,行政庁が解体費用を負担(肩代わり)ということはありません。
むしろ焦げ付いていた税金が売却代金から回収できる,という財政上プラスの効果があります。

6 空家問題×行政|協議・サポート|全体

行政が空家問題を解決するのは『強制的』手段だけではありません。
所有者との協議・交渉によって円満に解決することも多いです。
逆に,協議・交渉が原則的で,最後の手段が強制的な手段なのです。
行政と所有者との協議の中で提示されるメニュー・手段の典型をまとめます。

<空家問題×行政|協議・サポート|全体>

あ 解体補助制度

各種の補助金を紹介し,勧める
(別記事『税制改正・補助金』;リンクは末尾に表示)

い 空家バンク

空家バンクを紹介し,活用を勧める
(別記事『解決策・基本』;リンクは末尾に表示)

う 民間ローン

金融機関の空家解体ローンを紹介する

え 寄付

地方自治体への寄付を推奨する
ただし,寄付の対象にならないこともある
詳しくはこちら|地方自治体への寄付|寄付採納申請|審査の条件|行政の無過失責任

7 空家問題×行政|所有者との協議→寄付|事例

行政と所有者の協議により空家問題が円満に解決した事例を紹介します。

<空家問題×行政|所有者との協議→寄付|事例>

あ 所有者の特定

行政において空家の所有者を調査した
以前の所有者は既に亡くなっていた
法定相続人は数名存在していることが分かった

い 説明

行政から法定相続に主に次の内容を説明した
ア 税金の負担
イ 寄付の手続

う 相続人→寄付申出書提出

相続人の間で連絡し合った
相続人全員で寄付をすることに決めた
土地・建物を自治体に寄付する連名の申出書を提出した

え 行政による解体

土地・建物の所有権が自治体に移転した
自治体が建物を解体した
建物の滅失登記・土地の所有権移転登記を行った