1 建築確認申請では『民事的な土地の使用権』は審査対象外
2 建築確認では『土地の権利』の資料が事実上要求される
3 『土地の使用権』に関する事情を理由に『不適合』→違法
4 土地使用権がないのに『建築・使用』すると民事的責任は生じる
5 使用権があるが『権利者が調印拒否』→建築確認を強行すべき

1 建築確認申請では『民事的な土地の使用権』は審査対象外

建築確認申請で審査する対象は『物理的な建築物の位置・形状』を元にした公的規制です。
『土地の使用権』は建築確認の審査対象ではありません。

<建築確認の審査内容>

あ 審査内容

『建築物の敷地・構造・建築設備』についての法令への適合性

い 『法令』の内容

建築基準法・これに関する命令・条例・政令
※建築基準法6条

<建築確認の審査×土地の使用権>

『土地の使用権』は審査の対象外である

2 建築確認では『土地の権利』の資料が事実上要求される

実務上,建築確認申請の際,権利に関する資料』が要求されることもあります。

<建築確認で実務上要求される権利関係の資料>

ア 登記事項証明書
イ 土地使用承諾書

地域によって異なりますが方向性は概ね共通しています。
使用提出の要請を無視して提出しない場合は,改めて『要請』されるでしょう。
現実に使用権を欠いているような場合は『行政指導』として要請されることもあります。
『行政指導』とは強制力はないですが,一般的には『強い要請』と言えます。

3 『土地の使用権』に関する事情を理由に『不適合』→違法

建築確認で『土地の使用権』の資料の要請に最後まで応じないケースがありました。

<土地使用権の資料未提出×不適合処分→違法>

建築確認申請において『土地の使用権』の資料が提出されなかった
これを理由に『不適合処分』とした
→『不適合処分』は違法である
※津地裁平成14年9月19日

最終的に『土地の使用権』の資料未提出が理由の『不適合』は『違法』となりました。
結局,本来的な審査内容で問題がない限り『適合』となるはずです。

4 土地使用権がないのに『建築・使用』すると民事的責任は生じる

土地利用権原がなくても『建築確認』は理論上パスします。
このことと『民事的責任』は別です。
『利用権原なしで他人の土地に建築=使用』すると,民事的な責任が生じます。
共有者その他の権利者から,使用差止や損害賠償などの請求を受けることになります。

5 使用権があるが『権利者が調印拒否』→建築確認を強行すべき

もちろん,利用権原がある場合は『書面調印なしで建築を進めた』場合でも責任は生じません。

<使用権の書面なしで建築を進める例>

合意などにより利用権は存在している
しかし権利者が書面への押印を拒否している

建築確認を強行する→建築を進める

『違法』とはならない

これは,『権利関係の資料の要請』に『応じないまま確認申請すべき』という具体例と言えます。