1 境界を確定するには?
2 囲繞地とは?
3 上下水の配管を隣地に埋設する方法
4 建築する時の接道義務とは?
5 日照権侵害
6 分譲マンションのトラブル

1 境界を確定するには?

(1)境界のトラブルの本質

建物建築,売買,相続の際に境界のトラブルが具体化することがあります。
詳しくはこちら|土地境界|取引では確定が必要・公簿売買|額縁分筆・残置求積/全筆求積
また相続の事前準備として境界の確定をするニーズもあります。
詳しくはこちら|将来の相続,納税対策として境界確定をしておくと良い
境界の主張がお隣同士で異なる場合は,両方ともそれなりに理由があるということがほとんどです。
『過去に関係者が納得した境界杭』などはなく,また,現実の(占有境)も不明確
,というような場合です。
公図や登記上の地積から推論しても,このようにしか考えられないという『1つの正解』にたどり着くとは限らないのです。
過去の占有状況というのも重要です。
『昔は◯◯に立っている木を境にしてそれぞれが使っていた』などのことです。
しかしこれについても,証拠や証人があまりないということが多いです。
このようにいろいろな境界の推論(見解)が成り立つという場合には熾烈な境界のトラブルになるわけです。

(2)境界のトラブルの解決方法

境界のトラブルを解決する方法は,大きく3つあります。

<境界トラブルの解決手段>

・交渉
・筆界特定制度
・境界確定訴訟

詳しくはこちら|土地境界の基本・境界確定訴訟|判断基準・判断要素・法的性質
実際には対立の深さ,激しさによって,解決への最短ルートとしてどれが適切かを考えて手段を選択することになります。
詳しくはこちら|土地境界|解決手続の選択|筆界特定制度・境界確定訴訟・民事調停
詳しくはこちら|筆界特定制度|基本|特徴・標準処理期間・申請・手続の流れ

実務上,境界の問題から取得時効に発展することもあります。
境界が曖昧だとしても長期間の占有所有権を取得するということが起きるのです。
この点も注意が必要です。
詳しくはこちら|取得時効|基本|時効完成までの期間|占有継続・推定

2 囲繞地とは?

(1)囲繞地通行権

公道に接していない土地袋地(ふくろぢ)と言います。
当然,通路がないので建物を建てるなどの利用ができないということになります。
もちろん,法律上,救済措置があります。
周囲の土地(=囲繞地)を通行する,ということが認められるのです。
これを囲繞地通行権と言います。
民法上,囲繞地通行権についての例外的ルールは細かい規定があります。
分筆→譲渡により生じた囲繞地は,他方の土地にだけ通行権が認められる
しかし,『通路の位置』は最小限度という規定しかなく,また通行料については,特に規定がありません。
詳しくはこちら|囲繞地通行権の通路の幅と接道義務・例外許可申請
そこで,『通路の位置通行料』について見解が対立することがあります。
特に位置については,その内容次第で建築確認が下りない,とか自動車が通れないということになります。
詳しくはこちら|接道義務・接道要件|但し書き道路・協定道路
なお,建築制限については例外許可により救済されることもあります。
接道義務をクリアしない→接道義務の例外の許可申請という方法がある
これらは交渉でまとまらない場合,裁判所に定めてもらう,ということになります。
囲繞地通行権の通行料は協議か裁判所により定められる

(2)有利な解決へのプロセス

囲繞地通行権のトラブルを解決する手段は,一般的には交渉→訴訟という流れです。
交渉でも訴訟でも,有利な解決に必須のポイントは同じです。
まず,囲繞地通行権は,条文は曖昧ですが,判例の蓄積により,判断のキーとなる事項が特定されています。
過去の占有状況や一体の土地の利用状況などです。
これらのうち有利な事情その証拠を的確にピックアップして主張,証拠として組み立てることが有利な結果に結びつきます。

3 上下水の配管を隣地に埋設する方法

袋地の場合,通行だけではなく,上下水道,ガス,電気などのライフライン設置,埋設も,周囲の土地を使う必要があります。
民法上は規定がないですが,下水道法や民法の類推適用で埋設が認められています。
『埋設工事の承諾書にサインがもらえない』という場合でも最終的には訴訟で代用することが可能です。
袋地へのライフライン接続のために囲繞地を利用することが認められる;導管袋地

4 建築する時の接道義務とは?

土地のトラブルでよくあるのが家を建てられないことが分かったというものです。
更地であれば一見して問題ないと思ってしまいがちです。
しかし,建築基準法の建築確認に合格しないと建築できないのです。
建築制限はいろいろとありますが,見落とされがちなものは接道義務(接道要件)です。
『道路』と2メートル接していることが必要,というものです。
接道義務をクリアしていない土地には建物を建築できない

ここでの『道路』として認められるものと認められないものがあるのです。
認められるものについて,種類も多いです。
建築基準法の『道路』にはいろいろなものがある|位置指定道路・2項道路など
このようにルールがちょっと複雑なので,誤解が生じやすいのです。

一方,接道義務を含む建築制限については,例外許可により救済されることもあります。
接道義務をクリアしない→接道義務の例外の許可申請という方法がある

5 日照権侵害

建物などの建築,設置により日影ができます。
住居が日影になってしまう,ということはダメージが大きいです。
日照阻害とか日照権侵害と言います。
『日照権』は判例上権利として認められている
ここで,日影のダメージ建物などの建築のそれぞれが重要です。
すべての日影増加日照権侵害と言い切ることはできません。
そこで一定の基準があるべきです。
ところが日照権侵害の基準は,判例上の受忍限度論というものです。
日照権侵害の違法性は受忍限度で判断する;受忍限度論
大雑把に言えば建築基準法などに適合した建築については違法性が認められないことが多いです。
日照権侵害の受忍限度の判断基準
そうは言っても,交渉や訴訟によって,和解として,建築規模の縮小に至ることは多いです。
なお,解決手段としては,ほかに,都道府県の『建築紛争調整』や建築確認に対する審査請求,裁判所の仮処分など多様なものがあります。
事情に応じて,最適な手法を組み合わせることが,有利な解決を獲得するポイントです。
日照権紛争の解決手段|行政・裁判所の制度がそれぞれいくつかある

6 分譲マンションのトラブル

分譲マンションは,法的には区分所有(建物)と言います。
そして,状況によって,建物全体の事項を決める必要が生じます。
共用部分の管理変更,さらに,建物全体or一部の建替です。
このような事項の決定のためには総会で決議します。
法律上は集会という名称ですが,一般的には総会と呼ばれています。
詳しくはこちら|区分所有法の集会・総会|基本|決議要件|管理規約の効力
当然,全員が同一の意見になることはなく,対立が生じることもあります。
特に,現在,30年ほど前のマンション建設ラッシュに建てられた多くのマンションが老朽化を迎えています。
建替のニーズも急増しています。
建替の決議要件の緩和も提唱されているくらいです。
詳しくはこちら|老朽化マンションの急増×対策|建替のハードル緩和の法整備
いずれにしても,建替決議については,特に大きな対立が生じがちです。